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今日の講演内容です。




今日、皆さんに訴えたいのは技術革新への挑戦です。
私はこの二人の未来を読む能力に深く感銘を受けました。
こんなに昔によくぞ現代を予測しましたね。




1942年 ポリプロピレン誕生の前に「PP結晶らせん構造論文」が発表されていた。
そして今年は結晶科学100周年を迎えます。
100年前に樟結晶学が誕生しました。
日本の寺田虎彦がタッチの差でブラッグに後れをとりましたが高分子の研究では
  弟子の西田正治が世界初でした。




1954年 ナッタ教授のPP発明以来、触媒技術は急速に進化し続けた。
この凄まじさは他のポリマーでは比類なきものです。




自動車への応用は早く第2世代触媒時代に全開しました。
第4世代触媒の誕生10年後にその恩恵に浴しTSOPがデビューした訳です。




従来採用されていたPPバンパー改善のためポリマーアロイバンパーの開発に挑みました。
7社との共同開発体制を組み7種のエンプラとのアロイを開発しました。
性能面ではクリアできましたが成形収縮率・線膨脹係数の面で不採用となりました。
自問自答を繰り返した結果「PPバンパーはゴムバンパーなのだ!」と結論付けました。
樹脂の中にゴムが入っているのではなくゴムの中に樹脂が入っているのだ!」と考えました。
海島逆転の発想により高流動・高剛性・高衝撃を併せ持つTSOPが誕生したのです。




今までのPPバンパー材料は剛性確保のためエチレンリッチなゴムドメインでした。
そして樹脂マトリックとして物性確保のため高分子量PPでした。
海島逆転の発想によりPPを溶かすプロピレンリッチなゴムを使いエラストマーマトリックス化しました。
一方PPは高結晶化と低分子量化を極力推進させました。




そして得られたのがこの構造です。
PP相溶エラストマーコポリマーの採用によりPP結晶の超微細化に成功しました。
これは正にナノコンポジット構造そのものなのです。




学位論文提出によりTSOPの正当性を立証しました。
1995年に私は母校名古屋大学から博士号を受理しました。
ということはエラストマーマトリックス概念が認められたという事です。




その論文研究の過程で新規工事構造「四角柱結晶構造」を発見しました。
Z方向TEM写真で碁盤目模様を見つけたのです。
反論もありましたが「四角柱結晶構造」であると主張しました。




論文にこの四角柱構造結晶を掲載しました。
樟回折解析を進めるにつれ様子が分かってきました。
板厚方向(Z方向)は結晶b軸でありb軸配向が強いほど四角柱形成するのです。




広角X線回折解析によりb軸/a軸の強度比が大きいほど四角柱生成し仮説を証明した。
新規PP(Heterophasic Copolymer)は従来PPに比べ10倍以上のb軸強度比を示した。
従来PPではタルクの効果が2倍以下なのに何と10倍以上の効果になったのです。
これが四角柱構造を形成させるキメ手なのです。




このTSOPの成果が認められ1993年に自動車技術会技術開発賞を受賞しました。




エラストマーマトリックス構造によりリサイクル可能材料として認められました。
そしてグローバル材料統合の道を企画し驀進したのです。




材料統合化を遂げポリプロピレンの常識を覆し計画通り20世紀内に頂点に君臨しました。





最高級車{レクサス}への採用により2000年には米国SPEから革新技術賞を受賞しました。




TSOPデビュー新聞発表で「海島逆転の発想で誕生した新素材エラストマーマトリックス」
ポリマーと紹介した責任を果たすため学会発表での立証活動を10年にわたり展開しました。
高分子討論会での発表内容を列挙します。




エラストマーマトリックス理論を展開していくうちに四角柱PP結晶構造の発見となり、
  なぜそれが生成するか?メスを入れることになりました。
それは従来のポリマー結晶生成概念を打破する新しい考え方を提起するに至ったのです。




揺らぎ構造状態を表すイメージ図です。
結晶性ポリマーは溶融段階でもランダムコイルとならず分子間力の働く
  結晶前駆体揺らぎ構造となっていると主張しています。
液晶ポリマーが存在する現実としては疑う余地はありません。




エチレンリッチブロックPPコポリマーでは溶融時にスピノーダル分解(相分離)してしまいます。
C3リッチPP相溶ヘテロファジックコポリマーでは溶融安定性が劇的に向上します。
その結果アイゾット衝撃も劇的に向上しました。 
溶融状態でも分子相互間力の発現が大いに異なり相溶・非相溶を分かつのであり
結晶揺らぎ前駆体の存在を示唆しています。




タルクが他のフィラーに比べ特徴的にb軸配向を強めている。 
ほんの0.8% 添加で中心部でも有効に機能しています。 
溶融段階からタルクの表面に揺らぎ吸引が始まるのです。




タルク表面での結晶生成をモデル的に確認しました。
表層部は垂直にb軸成長しています。
影響の及ばないところは球晶生成するのです。




等温結晶化により静的と動的を比較しました。 
静的状態ではa軸、動的状態ではb軸成長するのです。 
動的には剪断流動時の構造が影響するのです。




タルクの結晶構造が大きく寄与しているのです。
数ミクロンの大きな壁開平面がPPの並び方を決めているのです。




タルク表面はこのように SiOの配列した一直線の引力圏原子列です。 
60度交差の一直線が凄まじくPPを並ばせるのです!




タルク表面が原子列引力圏がテンプレートとして機能。 
この直線性・平行性・吸引性がPP分子鎖を整列配置とさせているのです。 
一辺120Åの四角柱をミクロンオーダーまで積み上げられるのも 
   タルクのテンプレート効果です。




これがポリプロピレンの分子鎖です。
高分子炭化水素で表面は水素原子です。




タルク表面にポリプロピレンのbc面が吸引した時の様子です。
PPのbc面が吸引し、谷谷山山と吸引配列し周期的にはズレ無しです。
静止状態ではこちらが優先します。




タルク表面に配列したポリプロピレンac麺の分子鎖です。
谷山谷山と吸引配列し周期的にはズレは 1.5% 発生します。 
しかしプレート構造上流動時はこちらが優先します。 




ポリプロピレンはZ/N触媒で重合すると1本のポリマーの中にホールディング 
  (b軸吸引)しペア分子としてヘアピン構造が多数出現している。 
その重合パウダーを溶融混練していく過程でヘアピン部がa軸揺らぎ吸引し 
  揺らぎプレートを形成していくのです。 
さらに成形時を含めた溶融混練でこの揺らぎプレート同士がb軸吸引し合い 
  揺らぎ四角柱状態になっていきます。




PP結晶生成の考え方を整理します。  
Natta の結晶格子は右下図の赤囲いで示されています。 
しかし我々のプレート結晶子は青囲いで示します。 
このプレート結晶子が揺らぎ吸引流動し冷却固化するという考え方です。  




一連の学会発表結果からポリプロピレンには結晶前駆体としての 
溶融揺らぎ構造が存在している事を推測し証明活動を展開してきました。 
この考え方に基づき溶融ナノ構造を設計すれば新素材の創出は可能と思います。




このような考え方は定着していき、2002年のNEDOプロジェクトにも引用されるに至りました。 





これからはいよいよポリプロピレンの今後についてです。 
図のように自動車は進化してきました。




TSOP誕生・完成後のテーマです。 
上二つのテーマは達成できました。




しかし残る3テーマは進捗がありません。 
TSOPを超えるコンセプトが不可欠です。




ポリプロピレンの触媒技術はこのように劇的な進化を果たしました。 
しかしその進化は工業的にうまく活用されているでしょうか?




Natta発明のポリプロピレン重合触媒は第1、第2世代触媒と進化を遂げました。 
結晶性3塩化チタンの採用で工業的に開花しました。 
そして画期的な塩化マグネシウム担持チタン触媒の第3世代触媒が誕生したのですが・・。




触媒の進化はパフォーマンスに発揮には利用されていないのです。 
殆どのポリプロピレン商品が第2世代触媒で作られた技術に依存しており、
  第3世代以降の触媒技術は気相重合プロセス用として使われ
  タクティシティの良さが利用されていないのです。
TSOPはこれを活用し Heterophasic Copolymer 技術として恩恵に浴しているのです。




まず過去のPPを振り返ってみよう!
タクティシティの低い時代の研究結果がポリプロピレン研究の実態です。





しかしTSOPの出現以来エラストマーマトリックス状態での結晶構造は一変しました。
結晶の大半がα2構造を示すTSOPは新展開の道を開きました。
はこれからのPPはどうなっていくのでしょう?




タクティシティガ98ヲ越えた頃からヘアピンが両ループになりラメラ厚が均等になってきました。
両端ヘアピン構造によりラメラ厚さの精度が向上し四角柱結晶構造が高度に進化を遂げたのです。




ナッタの結晶格子構造を吟味するとb軸距離が特異的に近い事が分かります。
これはヘアピン構造のペア分子はステレオコンプレックス的に強烈にb軸吸引するからです。





これを分子モデルで表示すると、まず,裡蘯瓦吸引しヘアピン構造部が出現する。
次に△離悒▲團麁瓜里a軸吸引を重ね揺らぎプレート化していく。
次にそのプレート同士が揺らぎ吸引を重ね四角柱構造化していく。
少量のタルク添加は3次元的に長さ・幅・方向を整えてくれるので飛躍的に結晶化が進む。
と言う風に考えました




ポリプロピレンはZ/N触で重合すると1本のポリマーの中にホールディング(b軸吸引)し
  ペア分子としてヘアピン構造が多数出現している。
その重合パウダーを溶融混練していく過程でヘアピン部がa軸揺らぎ吸引し
  揺らぎプレートを形成していく。
さらに成型時を含めた溶融混練でこのプレート同士がb軸吸引し合い
  揺らぎ四角柱状態になっていく。
この状態で冷却固化したサンプルを再加熱・溶融してもこの構造は剪断力を加えない限り
  壊れないのである。




なぜペア分子ができるのか? 
それはZ/N触媒のみの成せるわざかもしれない。
すなわち触媒表面がテンプレートになりPPの重合を規制! 
  すなわちポリマー鎖の安定捩じれが抑制され触媒面を離れると歪解放されホールドし
  安定化するのです。」
ステレオコンプレックスとなるのです。




図のようにヘアピン部が1本のポリマー中に沢山存在し、重合段階のパウダーでは
  ランダムに詰まっています。
溶融混練によってヘアピン部はお互いにa軸吸引し揺らぎプレート化していきます。




どのようにして プレート結晶子はできるのか? 
その仕組みを紹介します。
モノマーが整列塩素原子に吸引され重合するからと考えます。
進化とともにテンプレート効果が増大したのです。




TiCl3の層状構造の立体化学モデルです。
この塩素原子列に吸引されつつ重合していくのです。




TiCl3 表面がテンプレートとして働き塩素原子列吸引重合が進みます。




TiCl3  結晶表面は規則面が小さいので規制は短かったのですが、
  MgCl2 (100)切開表面はTiCl3 切開面より広大かつ綺麗な表面なので
  限界まで塩素原子列吸引重合が進みます。 
触媒面を離れると歪解放されホールドし安定化するのでステレオコンプレックスとなるのです。




MgCl2 (100)切開表面はMg原子面で確実な切開し塩素原子引力も規則的です。
Ti原子は端に担持され広い触媒面で重合が進みます。
また活性点が少ないので重合干渉も起こりにくいと考えられます。




MgCl2 表面がテンプレートとして働き吸引重合する模式図です。




フォールド発生メカニズム推理です。 」
塩素原子列吸引テンプレート重合で限界まで進むとホールドします。」
  18ラセン連結で主鎖ネジレ歪解放による回転が起こりますが待ちうける触媒表面は
  b軸距離離れた隣の塩素原子列に吸引されます。




MgCl2 (100)切開表面構造はPPペア分子サイズb軸とピッチがほぼ同寸です。
第4世代触媒は劇的に進化しテンプレート機能を発揮可能なのです。




プレート結晶子の相対的サイズです。 」
18ラセンで 捩じれ歪は 解放されフォールド化し120Åのラメラの元のループができます。




理想形プレート結晶子のサイズを表します。 」
ラメラ厚さは54モノマー分(18ラセンユニット)でタクチシティが 99.9% であれば
  ポリマー1本でで1プレート化が可能です。




もし先ほどの究極のPPプレート結晶子が生成できれば1本のポリマーはこんなイメージです。




溶融揺らぎを経て射出成形により固化・結晶化はこのように起こるはずであり
  今後の小角X線散乱(Spring 8)が証明の鍵として期待される。」
現在では冷却固化で最後に定着する結晶軸はb軸であることも確認されつつあるようです。




ポリプロピレンの隠れた才能の掘り出しです! 




新概念でのアプローチが急務




重合段階でのプレート結晶子生成が要。 
オングストロームからパウダーのミクロンオーダーへの高次構造形成手法の獲得が急務です。
メタロセン触媒はヘアピン構造ペア分子が重合段階で生成しないのでこれを逆手利用して
ソフトマトリックスを!




新考案プレート結晶子重合時生成メカニズムの提案です。
触媒回転重合です。 
ポリマーは重合が進むにつれて動けなくなり外側へ押し出される。
  触媒を回転させれば糸巻きのように動かないポリーマーに巻き上げることが可能になる。
  直径20ナノメーターの円盤触媒を作り廻しましょう! 
原料モノマーはどんな隙間からも供給できます。




Z/N触媒とメタロセン触媒の違いを示します。




一方メタロセン触媒では触媒が自由に動きテンプレート効果がありません。 
ヘアピン構造ペア分子が重合段階で生成しないのを逆手に取りましょう! 
溶融段階でのコンフォーメーション効果から生ずる制御されたヘアピン部a軸吸引は
ポリアミドのような微細結晶になります。 
ポリアミドのようなタフなマトリックスが期待できそうです。 
剛直な四角柱結晶子を乗せるソフトな担架の役割です。




担架のイメージを示します。




そして究極の材料としてはカーボンファイバー、カーボンナノチューブの手助けです。




最後の言葉です。




ポリプロピレンは 3D Polymer !である。 
ポリエチレンもポリプロピレンも兄弟関係で同じ状態になっている。
しかし最大の違いはポリエチレンは分子間距離に差がないことである。 
ポリプロピレンはb軸吸引ヘアピン生成によるステレオコンプレックスが武器になり 
3D制御可能な事である。




現状は重合時のヘアピン生成、溶融揺らぎ成長による 3Dポリマーだが
  回転触媒重合が可能になればこの先の進化は想像を絶する創造になるものと確信します。




今日、TSOP開発25年を機に望む事




今年は世界結晶年です。 
是非この年をポリプロピレンの結晶改革の年にして下さい。
原子雲の世界は誰にも見れませんし解析もできません。
しかし物の真実はこの世界で起こっており物が作られているのです。
化学反応を起こして重合が進むのも、タルク表面に揺らぎ溶融状態で近づくのも、
  塩化マグネシウム表面で塩素原子雲とポリプロピレンの水素原子雲が引き合いながら
  テンプレート重合するのも、皆おなじ世界の出来事と考えたらどうでしょう! 
私はガリレオのようにこの真実についてい主張続けます。




18年前に、昨年亡くなられた日本の高分子結晶工学の大家である奥居徳昌先生に呼ばれ
  高分子学会主催の結晶化シンポジウムで自分の考え方を主張しました。
参加者は当時のお歴々で現在も活躍されている方ばかりです。
でもその時は異端者として無視されてしまいました。可愛そうなガリレオでした。




そして12年前に先程話題にしましたNEDOのOCTAプロジェクトとして我々の考え方に基づく
  計算機械工学的解明がなされました。
溶融段階から隣り合う分子が物理学的に相互関係を示し、揺らぎ状態で結晶前駆体としての
高次構造を形成しそれがポリプロピレンの四角柱結晶構造となるという考え方です。
ガリレオが世の中で認められ始めました。




以上のようにポリプロピレンは素晴らしい発展を遂げましたが、
   本当の凄さの発揮はこれから始まります。
是非いっしょにこれをなしとげようではありませんか。




これでおしまいです。   ご清聴ありがとうございました。